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3D プリンターでフィギュアーをプリントする
FDM プリンターとレジンプリンターでのフィギュアーのプリント方法、材料の選び方、モデルの準備、パーツ分割、サポート追加、展示品質の仕上げまで学びます。
3D プリントしたフィギュア
1. プロジェクトの背景:デジタルモデルから実物のフィギュアへ

デスクトップ 3D プリンターの普及に伴い、デジタルなフィギュアモデルを実物にする試みが広がっています。完成品を買うのと比べれば、カスタマイズの自由度が大きく異なります。キャラクターのポーズやバランス、ベースのデザインを自由に調整でき、自分の好みに合わせたバリエーションや塗装も作れるからです。
このプロジェクトの目標は、完成したキャラクターフィギアのファイルを、適切なモデルの確認、パーツ分割、スライス、プリント、後処理を経て、展示できる実物モデルへ変えることです。プリントできるかどうかだけでなく、成功、ディテールの再現度、表面品質、最終的な塗り仕上げも対象です。
実際のところ、フィギュアをプリントするのは通常の機能部品より複雑です。フィギュアモデルには、髪、衣服の折り目、武器、指、顔のディテールなど、細い構造が含まれることがあります。そのため、プリント解像度、サポート設定、後処理の技能への要求が高くなります。プリント前に、最終サイズ、用途、予算、許容できる納期を確定しておきましょう。
簡単な置物だけ作るなら、低コストの FDM で十分です。市販品に近い精密な仕上げを求めるなら、レジンプリントが適しています。目的によって、機材の選定、材料の選び方、モデル準備が変わります。
2. フィギュアモデルの選択:著作権、ディテール、プリント可能性
フィギュアモデルの選択はプロジェクトの最初の一歩であり、最終結果に最も大きな影響する要素のひとつです。主な入手元は、オリジナルのスカルプトレ、ライセンス付きのモデルプラットフォーム、オープンソースのモデルサイト、委託制作などです。どこから入手したモデルでも、まず著作権と利用権を確認してください。アニメ、ゲーム、映画、テレビのキャラクターでは特に重要です。ライセンスのないモデルを商業販売に使うことはできません。
プリントの観点から見ると、適したフィギュアモデルは次の条件を満たします。
- モデルの構造が完全で、明らかに欠損や破綻のある面がないこと。
- ディテールが明確で、極端に細い構造に依存しすぎていないこと。
- ポーズが安定していて、重心が無理のないこと。
- パーツの接合関係がはっきりしていること。
- モデルのプロポーションが目標のプリントサイズに合っていること。
- ファイル形式が STL、OBJ、3MF などの一般的なスライサーに対応していること。
解像度が高いほど良いわけではありません。ポリゴン数の多いモデルはディテールを保持できますが、スライサーソフトの処理負荷も増えます。PC の性能が限られる場合、必要以上に詳細なモデルは動作の遅れやクラッシュにつながります。最終プリントの前に、意図する完成サイズに合わせてポリゴン数を最適化できます。
プリント可能性にも注意が必要です。浮いた髪、細い長い剣、宙に浮くマントの縁などは見た目は良くても、プリント中に失敗したり折れたりしやすい部分です。レンダリング前提で設計されたモデルの場合は、構造の補強、パーツ分割、サポートの最適化が必要になることがあります。
3. プリント方式:FDM とレジンプリントの使い分け

フィギュア向けのデスクトップ 3D プリントには大きく 2 つの方式があります。FDM とレジンプリントです。どちらでもフィギュアは作れますが、用途と最終結果ははっきり異なります。
FDM は、加熱したノズルからフィラメントを押し出し、レイヤーごとに積層します。機材と材料のコストが安く、ビルドボリュームが大きく、ベース、大型の小道具、ディテールの少ない試作、簡略化されたちびっこフィギュアに向いています。ただし、レイヤー目立ちやすく、ノズル径が細部の表現を制限するため、顔、髪、指といった小さな部位には向きません。
レジンプリントは UV 光で液体レジンを 1 層ずつ硬化させます。精度が高く表面も滑らかなので、フィギュア、ミニチュア、スタチュー、複雑な装飾部品に適しています。顔の表情、衣服のテクスチャ、層になった髪といったディテールは、FDM よりもレジンプリントでうまく再現されます。
簡単にまとめると次の通りです。
- 低コストで、サイズが大きく、構造が単純なフィギュアが目的なら FDM が適しています。
- 高いディテールと滑らかな表面、そして塗り分けて展示できるモデルが目的なら、レジンプリントが推奨されます。
- 大きなベースと、高ディテールのキャラクターボディ を組み合わせるなら、ハイブリッドな発想も使えます。ベースは FDM、キャラクターはレジンでプリントします。
このプロジェクトで、高さ 15〜25 cm 程度の展示品質キャラクターを目指すなら、レジンプリントのほうが適しています。
4. 材料の選び方:PLA、ABS、PETG、光重合レジンの比較
材料の選び方は、プリントの難しさ、完成時の強度、ディテールの質量、後処理の方法に影響します。フィギュアのパーツの種類によって、適した材料は異なります。
PLA は FDM で最もよく使われる材料です。プリントしやすく、反りが少なく、においも弱いため、初心者に向いています。ベース、スタンド、単純な展示品に向いています。ただし耐熱性に限りがあり、暑い夏には変形することがあるため、直射日光の下や車内に長く置く用途には向きません。
ABS は強度と耐熱性に優れています。研磨やパテ、塗装によって良い表面仕上げにできます。一方で反りやすく、制御された囲い型環境が必要で、プリント中のにおいも目立つの、換気の悪い自宅環境には向きません。
PETG は、靭性と耐久性を合わせもち、レイヤー接着が良く、脆くならず、一定の耐衝撃性が必要な構造部品に向いています。ただし糸引きが多く、細かなディテールでは PLA ほど綺麗に決まりません。
光重合レジンは、フィギュア向けの高解像度材料としてよく使われます。標準レジンは細かいディテールをうまく再現し、展示モデルに適しています。タフレジンは折れにくく、細くて長いパーツに有効です。水洗いレジンは後片付けが簡単ですが、強度や耐久性はブランドによって異なります。レジンプリントには洗浄と二次硬化が必要で、未硬化の液体レジンが肌に直接触れないよう、十分な保護が必要です。
フィギュアプロジェクトでのよく使われる進め方は次の通りです。
- メインのキャラクターボディには高ディテールの光重合レジンを使う。
- 小さく脆いパーツにはタフレジンやレジブレンドを使う。
- 大きなベースには PLA を使ってコストを抑える。
- 耐久性が求められる接続部には PETG やタフレジンを検討する。
5. ディテールの要求:高解像度モデルがレジンプリントに適した理由
フィギアの価値はディテールに宿ることが多いです。顔の輪郭、目の形、髪の層、衣服の折り目、甲冑のテクスチャ、装飾模様など、完成品の印象を左右する要素が集中しています。プリント工程がこれらのディテールを正確に再現できなければ、設計がすぐれていても見た目が粗くなってしまいます。
FDM はノズル径とレイヤー高に制限されます。0.2 mm のノズルと低いレイヤー高を使っても、小さなディテールではエッジがぼやけ、レイヤー目が見え、サポートの跡が強く残ります。キャラクターの顔では特に目立ち、レイヤーの目や変形が表情を損なうことがあります。
レジンプリントは XY 方向の解像度が高く、レイヤーも細いため、細かな表面の変化をより確かに取り込めます。高さ 15 cm 程度のフィギュアなら、顔の構造や衣服のテクスチャをはっきりと残せます。研磨、充填、プライマー、塗装を経て仕上げると、完成品はコレクター向けの品質に近づきます。
ただし高解像度でも後処理は必要です。レジンプリントでもサポートの跡、洗浄の残留物、硬化時の収縮が起きます。見える面への影響を減らすため、サポートは背面、底面、髪の中、パーツの接合部などに配置し、スライサーでモデルの角度を最適化します。
したがって、コレクター向けの展示フィギュアが目的なら、レジンプリントを優先してください。モデル構造の確認や荒い形の試作だけが目的なら、FDM が低コストなテスト手段になります。
6. 機材の準備:3D プリンター、スライサー、後処理道具

プリントの前に、必要な機材、ソフト、後処理道具を準備します。準備するほど、プリント中の問題対処が容易になります。
FDM プリントを使う場合、基本の機材は次の通りです。
- FDM 3D プリンター。
- PLA、PETG、ABS などのフィラメント。
- スライサーソフト。
- スクレーパー、切り出しニッパー、サンディングペーパー。
- モデリングパテ、プライマー、スプレー塗装、アクリル絵の具。
レジンプリントを使う場合、基本の機材は次の通りです。
- レジン 3D プリンター。
- 光重合レジン。
- 洗浄容器または洗浄ステーション。
- UV 硬化ランプまたは硬化ステーション。
- 使い捨てグローブ、マスク、保護メガネ。
- ろ過ファネル、シリコンマット、厨房用の紙タオル
- スクレーパー、切り出しニッパー、ピンセット。
- サンディングペーパー、サンディングスポンジ、モデリングパテ。
- プライマー、エアブラシ、手描き塗装の道具。
スライサーソフトについては、FDM はレイヤー高、充填、サポート、速度、温度を設定します。レジンはサポート、露光時間、リフト速度、ボトム露光、モデルの向きを中心に設定します。
後処理道具も同様に重要です。フィギュアをプリントした後は通常、サポート除去、洗浄、硬化、研磨、継ぎ目充填、プライマー、色分け、ディテール塗装、保護クリア層が必要になります。プリントはフィギュア作りの一部にすぎず、最終的な品質は後処理と塗装で決まることが多いです。
7. モデルの準備:破断面、ホール、法線方向の誤り、スケールの確認
モデル準備はプリント成功率を高める重要なステップです。一見正常な 3D モデルにも、破断した面、重なった面、非 manifold 形状、内部空洞、法線方向の誤りが含まれていることがあります。これらはレンダリングでは気づけない場合でも、スライス時にレイヤーの欠落、異常な充填、サポートエラー、あるいはプリント失敗を引き起こします。
モデルを確認する際は、次の点に注意してください。
- 閉じていない開口部がないか。
- 不要な内部面がないか。
- 極端に薄い構造がないか。
- サポートが難しい張り出し部分がないか。
- 部品が重なっていないか。
- 法線方向が統一されているか。
- モデルの底面が平らか。
- パーツ間に組み立て用の隙間があるか。
スケールの調整も重要です。ゲームやアニメーション用に作られたモデルに実寸サイズがあるとは限りません。プリント前に目標の高さを決めます。たとえば 10 cm、15 cm、25 cm です。大きくなるほどディテールは見えやすくなりますが、プリント時間、材料使用量、後処理の作業量も増えます。
レジンプリントでは、モデルを中空にするかどうかも検討します。大きな完全なレジンモデルは材料を大量に使うため、硬化時の収縮でひび割れが起きることがあります。中空にする場合は、未硬化のレジンが内部に残らないようドレンホールを開けます。ドレンホールは底面や、あとから隠しやすい場所に配置します。
モデルの部分に、髪の先端、指、剣の刃先、リボンなど薄すぎる要素が含まれる場合は、少し厚くできます。ただし厚すぎると見え方が変わってしまうので、プリント、洗浄、サポート除去、取り扱いを耐えられる程度の強さは確保します。
8. モデルの分割:プリント成功率を上げ、サポートの跡を減らす
フィギュアモデルをパーツに分けることは、「プリントできる」から「うまくプリントしやすい」へ向かう重要なステップです。複雑なフィギュアを一体でプリントすると、大量のサポートが必要になり、顔や胸、脚などの見える部分にはサポートの跡が残ります。適切にパーツを分けると、主要な面へのサポートの影響を減らせ、研磨や塗装もやりやすくなります。
一般的な分割方法は次の通りです。
- 頭と胴体を分ける。
- 髪の前側と後ろ側を分ける。
- 腕、脚、武器を別々にプリントする。
- マント、スカート、流れるリボンを分ける。
- ベースとキャラクターボディを分ける。
- 小さな小物類は別々にプリントするか、より安定したパーツにまとめる。
パーツを分けるときは、ピグ、スロット、位置合わせ穴、マグネット穴など、接合構造を設計してください。接合部の寸法はプリント方法に応じた公差を含む必要があります。レジンプリントではより厳しい公差が使えますが、FDM では大きな隙間が必要です。一般に、ソケットは締めすぎると組み立て時に部品が割れることがあります。
パーツ分割には、塗装の観点でも大きな利点があります。髪、顔、衣服、武器、ベースを別々にプリントすれば、組み立ての前にそれぞれを研磨、プライマー、塗装できます。色境界がきれいになり、マスキングもやりやすくなります。
ただし、パーツ多有ければよいわけではありません。部品が増えすぎると、プリントの回数、洗浄の手間、組み立ての誤差が増えます。良い目安は、髪の継ぎ目、衣服の継ぎ目、甲冑の縁、ベルトの位置、ベースの接合部など、自然な構造の線で分けることです。そうすれば、小さな継ぎ目をパテや塗装で隠しやすくなります。
モデルの確認、適切なパーツ分割、適したプリント方法、理にかなった材料の選択を通じれば、フィギアの 3D プリントは、単純な出力の試みではなく一連のモデル作りワークフローになります。初心者はパーツの少ない簡単なちびっこフィギュアから始め、手順に慣れてから、高ディテールの複数パーツ、複雑なポーズの展示フィギュアへ進むのがおすすめです。